大月桃太郎伝説〈定説〉

岩殿山の鬼退治

投稿 2024年11月16日

「郷土の昔話」 元大月市賑岡公民館長 石井 深 編

昔昔、岩殿山の西南にある九鬼山には十匹の鬼が棲んでいた。その中の一匹は赤鬼で他は、青鬼だった。赤鬼は背丈も大きく力も強く暴れん坊だったので、遂に青鬼達から仲間はずれにされ、岩殿山に棲みついたが、やけになって乱暴を働き、里に出て女や子供をさらったり、牛馬を盗んで食べたりしたので、岩殿山の周りの村人達は、えらい困り、ひどく怖れていたそうだ。

 特に岩殿山の東北の村には、美人が多く時々鬼にさらわれた。困った村人は徳巌山に庵を建てて住んでいたえらいお坊さん「どうしてらよかんべえ」と相談したら、「家の周りに葛の根を掘って植えなさい」と言われたので、その通りにしたら年々葛の葉が茂り家々を隠したので、それからは娘達がさらわれることもなくなったので、この村を葛野と名付けたという。

 さて岩殿山の東に百蔵山(桃倉山)という山があり、ここには桃の木が沢山生えていた。この山から特別大きな桃が一つ転がり落ちて葛野川に入り、流れ流れて下流の鶴島についた。

その鶴島には仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいて、お爺さんは山へ柴刈りにお婆さんが川で洗濯をしていると川上からどんぶりこどんぶりこと大きな桃が流れついた。

「なんとでっかい桃だんベ」と拾い上げたお婆さん家へ持って帰り、お爺さんと一緒に食べようと割ったら、中から可愛い元気な赤ん坊が生まれてきたそうだ。

桃太郎と名付けられたその子どもは、強く逞しく成長し、岩殿山の鬼のことを聞き、ひとつ退治してやろうと、お婆さんにキビ団子をつくってもらって出かけた。

途中、犬目で犬を鳥沢で雉子を猿橋で猿を家来にし、きび団子を食べて元気をつけ大声で「岩殿山の赤鬼よ、これから桃太郎が貴様を退治に行くぞ」と叫んだら、昼寝をしていた鬼は目を覚まし、大いに怒って手にした石杖を二つに折り、声のした方へ投げつけた。左手だったが、地響きをたてて突き刺さり大きな石が動くほど揺れた。ここを今「石動」と呼んでおり、石の杖を「鬼の杖」と呼んでいる。

やがて西の方へまわった桃太郎が「赤鬼めー、覚悟しろー」と叫ぶと鬼は物凄い唸り声をあげて右手に持っていた石杖を桃太郎の方へ投げつけた。今度は勢い余ってびゅんーと桃太郎の頭上を飛び越して笹子の白野と原の境に突き刺さった。これを今でも「鬼の立石」と呼んでいる。

石杖をなくした鬼は、岩石を持ち上げて投げつけたり蹴飛ばしたりして暴れ狂った。そのため岩殿山の頂上近くにあった大きな岩石は、南の桂川に転がり落ち、山の形が変わるほどだった。

鬼は頑張ったが、追い詰められて、遂に東にある徳巌山に逃げようと片足をかけたところ股が裂け、とうとう死んでしまった。このとき飛び出した腸は固まって岩石となり下の畑の隅に転がっていて村人は「鬼の腸」と呼んでいたが、道路工事の時に砕かれてなくなってしまった。そのとき流したおびただしい血は、土の中にしみこんで、今でも赤い血のような土が岩殿の子神神社のあたりから沢山出てくるので「鬼の血」と呼んでいる。

超未来30世紀版 大月桃太郎伝説

投稿 2024年11月16日

生成AI(人工知能) by 折笠

『30世紀の未来、かつて山梨県と呼ばれた地には、都市「オオツキ・メガフロンティア」が広がり、その周囲には壮大なバイオドームで囲まれた山々がそびえ立っていた。特に「イワデノマウンテン」と「モモクラマウンテン(桃倉山)」は、巨大なバイオシールドに覆われたその神秘的な姿で未来都市の人々を魅了し、オオツキの誇りとして広く知られていた。しかしその地下には、メガフロンティアを脅かす危険な存在「デモン・コア」の巣窟があり、その中でも最強のAI「アカオニ」と、その配下である複数の「アオオニ」が住み着いていた。

 この「デモン・コア」のAIたちは、時折地上に現れてはバイオドームの構造を破壊したり、地上のエネルギーを吸収して暴れ回り、特に美しい女性たちが多く住む「クズノバイオ・シティ」を標的にしていた。

クズノバイオ・シティはそのため、防御用に特殊な「クズノバイオ・ヴァイン(葛)」を開発し、ナノバイオ技術によって都市全体をカムフラージュするバリアを張り巡らせた。このバリアは、クズノシティを護り、伝説の中でも「クズノ」という名前が語り継がれている由来となった。

オオツキの地には、古くから「桃」にまつわる神話や伝承が語り継がれていた。もともと山梨県一帯は桃の栽培が盛んであり、桃は「希望」や「再生」の象徴とされてきた。ある日、クズノリバーから巨大なナノ桃が転がり落ち、オオツキ・メガフロンティアの「ツルシマサンクチュアリ」に流れ着いた。そこには、最先端技術を操るサイバーハッカーであるおじいさんと、バイオテクノロジーに長けたおばあさんが住んでいた。彼らは、その巨大なナノ桃を見つけると、喜び勇んで家に持ち帰り、パワーレーザーで桃を割った。

すると、中から「ナノ桃太郎」と呼ばれる生命体が誕生した。桃太郎は、桃の中で高度なバイオテクノロジーによって育まれ、強大な力を持つ存在として生まれてきたのだ。おじいさんとおばあさんは彼を愛情を込めて育て、彼もまた瞬く間に成長し、強くたくましくなっていった。

やがて、メガフロンティアを脅かす「アカオニ」とその配下の「アオオニ」たちの存在を知ったナノ桃太郎は、「オオツキの平和を守る!」と決意し、旅立つことを決めた。おばあさんは特製の「キビバイオ・ナノバー」を作り、桃太郎に持たせた。キビバーはナノ技術で強化され、食べた者の能力を瞬時に高めるエネルギー源となる。

ナノ桃太郎は旅の途中で、古代から伝わる「犬目バイオドローン」、風のように疾走する「トリザワ・フェニックス」、さらに「サルハシ・サイバーゴリラ」と出会い、キビバーで彼らのシステムを強化して仲間にした。こうして最強のバイオチームが結成され、デモン・コアの殲滅を目指し、イワデノマウンテンの地下へと突入する。

「アカオニ!オオツキの未来を守るため、貴様を討つ!」と叫ぶナノ桃太郎。その声は、イワデノマウンテンのバイオ構造を共鳴させ、山全体が鳴り響いた。目覚めたアカオニは、その巨大なAIボディを震わせ、岩のように硬いハンマー型のエネルギーウェポンを手にして襲いかかる。アカオニの攻撃は、地面を砕き、地下都市の地形すら変えるほどの威力を持っていた。

しかし、ナノ桃太郎の仲間たちも負けてはいない。犬目ドローンは高速でアカオニの攻撃をかわし、トリザワ・フェニックスは空中から熱線ビームで反撃、サルハシ・サイバーゴリラはその怪力でアカオニの動きを封じ込めた。そして、ナノ桃太郎はその隙をついて、バイオ・ナノブレードでアカオニのAIコアに一撃を加える。

激しい戦いの末、アカオニはついに力尽き、その巨大なコアが崩壊。周囲の大地には、かつてのアカオニの力を象徴する「鬼の立石」や「鬼の杖」が残され、それらはオオツキの人々によって未来への戒めとして保存されることになった。そして、アカオニが流したデータは地中へと浸透し、オオツキ・メガフロンティアの大地にその痕跡を残した。それは「鬼の血」として、今も地域の伝説として語り継がれている。

こうしてナノ桃太郎は、オオツキの平和を守った英雄として人々の心に刻まれ、山梨の地に新たな伝説を生み出したのだった。

大月桃太郎伝説の地を訪ねる

 投稿 2024年11月16日

出展:大月市観光協会ホームページ

昔むかし、おばあさんが「桂川」で洗濯をしていると、どんぶらこどんぶらこと大きな桃が「ももくら山」の麓から流れてきました。その桃から生まれたのが「桃太郎」。「鶴島」にて成長した桃太郎は、「岩殿山」に住む悪い鬼の退治に出かけました。道中、腰に付けたきび団子をあげ、「犬目」でイヌを「鳥沢」でキジを、「猿橋」 でサルを家来にしました。桃太郎軍団との激闘の末、攻撃に耐えかねた鬼は逃げ出し、隣の「徳巌」に足をかけると、哀れなことに股が裂けてしまいました。

鬼の住処とされる岩殿山の「鬼の洞窟」。鬼の血で染まる「子神神社」の「赤土」。さらには「鬼の石杖」が「石動」の地に突き刺さり現存するなど、大月周辺大月市周辺には、桃太郎伝説にまつわる名所や地名が点在しております。



▼物語の舞台ともなる岩殿山の「鬼の岩屋」(正式名:新宮洞窟)
洞窟の中から外を見ると富士山の形が見えます。

「新宮洞窟」という名に相応しく、新緑の似合う美しい洞窟です。
雨量の多い時にだけ見られる滝が絶景だそうです。
(通常は、危険を伴うため立ち入り禁止となっています)




▼子神神社(鬼の血)
境内の土の色が赤く、赤鬼の流した血で染まったと言われています。




▼鬼の盃(手洗石)




▼桃太郎地蔵(石船地蔵)
左手に持つ宝珠を桃に見立て「桃太郎地蔵」と呼ばれています。




▼鬼の杖
斜めに傾くその先には岩殿山があることから、岩殿山に住む鬼が投げた石杖であるとの話がいく通りも昔から伝わっています。



▼猿橋